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コラム 雪国って最高!

vol.86

 棚田を見渡していると、不思議なほど心が静まる。何百年もかけて棚田を作り大切に保ち続けてきた人たちの思いがあるから。自然と人間の力が融合して、生態系を守り、自然災害を防ぎ、安らかな世界を生み出しているから。
 先日、ある棚田のすぐ近くにあるおしゃれな古民家で、棚田に取り組んでいる方たちのお話を聴く機会があった。棚田は、今や存続の危機にあるという。減反や高齢化の中で、棚田を維持するためにみなさん大変な努力をなさっているのだった。今まで単にきれい! と喜んで見ていただけの自分が恥ずかしくなる。 
 棚田は、この地域で最も美しい景観のひとつだ。世界に誇る観光資源でもある。
棚田をこれからも守り続けるために何ができるだろうと、ずっと考えている。

(2019年10月16日号)

vol.85

 この地に戻ってきてから好きになった場所がたくさんあって、そこに遠くから来た友人たちを案内してきた。でもさらに奥深い魅力を伝えられるようになりたいと思って、ある勉強会に参加させていただいた。
 びっくりした。知らなかったことばかり。戦国時代に上杉謙信がなんども通ったという古道を歩いたり、正面からしか見たことのない芸術作品の裏側に回ってみたら、全然違う景色が広がっていたり。何年も知らないでいたなんて許せない、と思うことがたくさんあった。
 次は別の講座で博物館を訪れることになっている。いくら学んでも学び尽きることはないだろう。なんでもすぐ忘れがちなお年頃だけれど、忘れたらまた学びなおそう。
そして好きな場所をもっとたくさん見つけ出そう。

(2019年8月11日号)

vol.84

 古い友人が訪ねてきた。ビジネスで3日間日本にいるだけなのに、唯一の休日をこの町で過ごしたいという。だが当日は雨。まあそういうこともあるでしょう。雨の日の観光スポットを考える。
 小雨の中をまずはトンネルアートへ。「水晶のように透き通った」という英語の表現そのままの澄み切った峡谷。足だけの温泉体験。ブナ林は雨に濡れて緑が輝いている。棚田を見ながらの地元食材を使ったランチ。曇り空で光の陰影が一段と強調された館。最後はしっとりと苔むす茅葺き屋根の寺。
 この国の奥深い美しさを紹介できたと思う。次は真冬に来たいそうだ。はじめて
来た人にそう思わせるほどの魅力が確かにこの地にはあると、改めて納得したガイ
ドの1日だった。

(2019年7月13日号)

vol.83

 やっとたどりついたその橋は、清流の上を緑の山から緑の山へと渡る吊り橋だった。幅はそれほど狭くないから走って渡れそう。
 が、一歩踏み出したらゆれ方が半端じゃなかった。手すりが弱々しいし、下を見るとまっ青に透き通った急流に目が回る。途中で引き返そうかなあとちょっと思った。いやいや、ずっと渡ってみたいとあこがれていたのだから。なんとか無事渡って戻ってきたときはほっとした。
 後で知ったのだが、この橋は「ゆれる」という映画のロケ地になったらしく、なるほどゆれたはず。
 それにしても美しい橋だった。向こう岸の暗闇はきっと魔法の世界の入り口だろう。
この次はスキップしながら渡って、トトロの森の奥まで行ってみるつもり。

(2019年6月15日号)

vol.82

 木の芽を毎日どんぶりいっぱい食べたくて、ふるさとに戻った、と言ってあきれられている。山菜の中でもうひとつ子供の頃から大好きだった母の味が、ぜんまい煮物だ。だが木の芽と違ってぜんまいは採っても処理が大変で、どうしても手が出なかった。
 先日山の中の公園でたまたま目についたぜんまいを採取してしまって、なんとなくその気になったぜんまい干し。あまりに数が少ないので、ご近所のプロに聞くのも気がひけて、ネットで調べてやってみたのがこの写真。全部で7本。さすがに恥ずかしいので、家の中に干した。
 茹で時間、その後のもみ方など果たしてうまくいっているのかどうか? それによって、今後の私の春の楽しみ方が変わるかどうか、現在実験中。

(2019年5月16日号)

vol.81

 半年雪の銀世界〜♬ とずっと昔歌った覚えがあるが、半年は大げさだと子供心に思っていた。半世紀後の今年の冬、雪はもちろん降ったけれど、雨の記憶の方が多い。おかげでキラキラ輝く銀世界の期間が短く、冷たい雨に打たれどよよ〜んとした暗い冬だった。
 その分、春が早いのはうれしい。3月中に庭の雪は溶け、雪囲いは全部とりはらった。チューリップや水仙が大急ぎで芽を出して、うきうきと心が舞い上がる。
 そこに突然、戻ってきた雪。なごり雪などと詩的に呼ぶには多すぎる雪。雪国を甘く見るんじゃないよ、と言われた気分。
 やっぱり冬は冬らしく、春は来るべき時に来てくれるのがいい。冬には雨でなくちゃんと
雪が降って、3ヶ月くらいは雪の中がいい。といったら、しかられますよね?

(2019年4月15日号)

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